世界に共通するテーマを、ハイクオリティな美術で語る作風が海外でも高い評価を受けている「リヴ&ベル」。アヌシ一国際アニメーション映画祭にノミネート。

May, 29, 2023 / INFO

映像ディレクタ ー ・喜田夏記 (P.I.C.S. management)が監督を手がけるTVシリーズ『リヴ&ベル「恵みの森のあったかスープ」』が、世界最大規模の国際アニメーション映画祭として知られるアヌシー国際アニメーション映画祭TV Films部門の最優秀作品賞にノミネート。世界122ヶ国から3250本の作品がエントリーされた中、TV Films部門で27本のコンペティション作品の1作として選出されました。
6月12日よりフランスにて関催される同映画祭での上映が決定しています。

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リヴ&ベル (英題:Liv & Bell)とは?


リヴ&ベルは、NHK Eテレ プチプチ・アニメにて放送中のコマ撮りアニメーションで、昨年2022年に放送10周年を迎えました。
監督・脚本・アートディレクションを喜田が手掛け、美術・撮影・編集・音楽・音響効果など全工程に関わるスタッフも10名に満たない少数チームで制作されています。
作品に登場する、全ての人形 (パペット)、背景セットなど、美術周りの造形や作画を手がけるのは、クリエイティブ・スタジオ Legolas inc.のアートディレクター・作画美術造形師を務める喜田直哉氏。画家としても活動しながら、数々の広告映像やグラフィック作品において、作画・デザイン・造形も担当しています。

作品のストーリーや世界観もさることながら、美術面にも深いこだわりを持った本作。
世界に共通するテーマを、ハイクオリティな美術で語る作風が、海外でも高く評価されています。

■NHKリヴ&ベル 公式サイト
https://www.nhk.jp/p/petit/ts/5W3G371NR7/episode/te/GZPRKKG5K1/
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<喜田夏記監督・コメント>
美術面はセットもパペットも全て手作りし、人形をひとコマひとコマ動かして撮影する、アナログな作業にこだわってきたので、デジタルを駆使する制作スタイルより時間はかかりますが、人間の手によるぬくもりや、紙や布、粘土など素材のテクスチャ感ある絵肌を大切にして制作しています。1年に1本のペースで作品のクオリティには決して妥協せずに少数精鋭でじっくり密度を上げるスタイルを貫いてきました。

<絵画から造形制作ヘーストップモーションアニメ’Liv & Bell’のための美術>
Liv & Bell の美術は基本的に数枚の絵画から展開している。
絵本の様な状態から徐々にコンテに分解してゆくのだが、その過程で各絵画の背景から、ストーリーに合うPOP-UP要素を含むペーパークラフトとしてのセットを数種類決定し大きな場面を設定する。
全体の色彩トーンなどもこの段階で決定し、それを基準にしてキャラクターや小物要素などのデザインを制作。
デザインにおいて、画面上に登場する要素は、紙の平面性とレリーフの半立体感を融合させたイメージで制作する事で、ペーパークラフトのセットとの絵画的融和性を持たせ、背景の舞台美術のような階層的構造にも組み込み易く出来るようにした。
背景やガジェットの構造などは、敢えて奥行きを極端に大きくしたり、実際は同一平面上にあるべき階層をずらしてみたり等の工夫を施し、反立体の空間に深みが出る様に心掛けている。
特に空間表現の上では、クラフトを敢えて逆遠近で作って配置し遠近感を調整したり、常識的なバランス感覚を意図的に崩す事で画面全体の構図に説得力も上がる。
人形の造形については油彩画の様なマチエールを意識して表面を仕上げ、特に東欧レトロ・アニメーションが持つ様なグロテスク且つ滑稽な雰囲気を纏わせ、デザインの可愛さなどが目立ち過ぎない様にした。
キャラクターデザインは動物の擬人化が主であるが、デフォルメの度合いは抑え、リアリティを残す事でキャラの奥行きを感じさせられるように意識している。
具体的には動物のデッサンから始めて粘土でリアリティを重視した造形をし、そこから形態を誇張、単純化し調整してゆく。
最終的なセッティングは出来上がったキャラクター、小物を背景セットに配置し直して元のデザイン画に近付けてゆく作業となる。
一枚絵としての完成度をそのまま再現するだけでは成り立たない難しさがあるものの、逆に絵として成立していなくても立体になると予想外の効果が現れ、創作の醍醐味を感じる事が出来る。
全てのカットが絵本の1ページとして成立するように、背景の美術も細部まで描きこむのでデザインや作画の量はかなり多くなるが、より強く世界観が表現出来ているのではないかと思う。
(文・喜田直哉)

■アヌシー国際アニメーション映画祭
https://www.annecyfestival.com/the-festival/competition/2023:tv
■P.I.C.S. – 喜田夏記
https://www.pics.tokyo/member/natsuki-kida/
■Legolas inc.オフィシャルサイト
https://www.natsukikida.jp

〜「リヴ&ベル」シリーズのこれまでの受賞歴〜
Liv&Bell 6「大きな洋服屋さんとふしぎなリボン」
・ポルトガル国際映画祭 2020 (ポルトガル) – Curtinhas Competition (Children Films) / オフィシャルセレクション

Liv&Bell 8「ベルくんのほそくてながいお友達」
・2021 韓国国際アニメーション映画祭 (韓国) / ‘Best Picture’ award in SICAF Animated Film Festival’s Official Competition – Production Character Animation for TVテレビシリーズ部門 / グランプリ
・ロサンゼルス国際短編映画祭 2022 (アメリカ) / オフィシャルセレクション
・ファンタジア国際映画祭 2022 (カナダ) / オフィシャルセレクション
・SHORT to the Point 2021 (ルーマニア) – Children short チルドレン・ショート部門 / 最優秀作品賞
・バーバンク国際映画祭 2022 (アメリカ) / 短編アニメーション部門 – セミファイナリスト
・アラメダ国際映画祭 2022(アメリカ)短編アニメーション部門 ファイナリスト
・ゴールデンクッカー国際アニメーション映画祭 2022 (ブルガリア) / official competition of the GOLDEN KUKER – SOFIA 2023 in the SHORT FILM MADE FOR KIDS category オフィシャルセレクション
・マドリッド映画祭 2021 (スペイン) / オフィシャルセレクション
・ベネチア国際短編映画祭 2021 (イタリア) / オフィシャルセレクション
・エスピーニョ・アニメーション国際映画祭 2021 (ポルトガル) / オフィシャルセレクション
・ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2022 (日本) / オフィシャルセレクション

Liv&Bell 9「恵みの森のあったかスープ」

・アヌシー国際アニメーション映画祭 2023 (フランス) / official competition of the 2023 Annecy International Animation Film Festival in the TV films category – 最優秀作品賞ノミネート
・ベネチア国際短編映画祭 2023 (イタリア) – ANIMATION SHORTS COMPETITION / セミファイナリスト
・ゴールデンクッカー国際アニメーション映画祭 2023 (ブルガリア) / official competition of the GOLDEN KUKER – SOFIA 2023 in the SHORT FILM MADE FOR KIDS category / 最優秀作品賞ノミネート
・モンストラ・リスボン・アニメーション映画祭 2023 (ポルトガル) / MONSTRINHA Competition Short Films for Children and Youth – 最優秀作品賞ノミネート
・ブカレスト・アニメーション国際映画祭 2022 (ルーマニア) / Minimest children’s films competition – オフィシャルセレクション