映像と身体表現の相乗効果で生まれるもの | 映像ディレクター・池田一真 × コレオグラファー ・Seishiro対談 (後編)

#Interview #P.I.C.S.management #Creator

P.I.C.S.で手掛けるプロジェクトや働くメンバーのバックグラウンドを掘り下げるP.I.C.S. CASE STUDY。
今回はP.I.C.S. managementに所属する映像ディレクター・池田一真と、コレオグラファー・Seishiroのインタビューを対談形式にて掲載。後編では、P.I.C.S. managementに所属することで広がる可能性や、今後挑戦してみたいことを語ります。

池田一真:映像ディレクター
アイデアやユーモアに溢れた映像表現を得意とし、手法にとらわれない柔軟なディレクションで、TVCMから企業ブランディング映像、MV、アニメーションコンテンツやアトラクション用の空間映像まで、多岐に渡る媒体やジャンルを手がける。
https://www.pics.tokyo/member/kazuma-ikeda/

Seishiro:コレオグラファー / ダンサー
日本最大級の振付作品のコンテストでは歴代最年少で優勝および過去最多の5つの賞を受賞。
一秒一秒にかけるこだわり、音との巧妙さ、またその構成力に定評があり、人間の裏の一面を垣間見るような独特の世界観は国内外で高い評価を受けている。
ダンサーとしても振付家としてもその人気は高く、数多くの舞台作品、映像作品を手がけている。
https://www.pics.tokyo/member/seishiro/

同じマネジメントに所属している同士で、一緒に何かやりやすいのはあるかもしれない

ーーマネジメントとして所属することの魅力を語っていただきたいのですが。

Seishiro:現実的な話しかないよ(笑)。

池田:超シンプルに、やれないことをやってもらえるっていう。

Seishiro:クリエイターって金銭のやりとりが苦手だと思うので、そこをP.I.C.S.さんがご丁寧にやってくださるので、そこにすごく感謝してますね。あとP.I.C.S.にマネジメント所属して良かったなと思うのは、本当に色んなクリエイターさんたちに出会えたこと。今までセッションできなかった人たちとたくさん会話ができるようになったし、みんなそれぞれのいい部分と闇の部分みたいなものを会話できるというか。P.I.C.S.って交流会も多いじゃないですか。そういうのすごい嬉しい。人物そのもののユニークさが伝わってきて。変な人ばっかり。P.I.C.S.に入ってる人変な人多くない?

池田:そういう感じかな(笑)。あとは毎回一緒にやるチームだとその発注の時に稀に自分宛に連絡がきたりもあるけど、基本的にはマネージャーに連絡がいくのでその最初の入り口をこなしてくれる。スケジュールの調整もそうだしね。実際はスケジュールが詰まっているのに、迂闊な判断をしてしまいそうな時に助かる。なんか自分だと「いけそう!」とか「いけるかもしんないっすね!」みたいに言っちゃう(笑)。求められるのに弱いんで、求められると全部応えたくなっちゃうから。

Seishiro:仲介してくれるからね、そこはありがたい。

池田:逆にマネージャーに聞きたい。どういうスタンスでマネジメントをしてますか?とか、クリエイターと向かい合ってますか?みたいな。クリエイターがマネージャーに聞くみたいな企画とか、マネージャー同士が話すこととかも聞いてみたいしね。

ーーでは、それは次以降のCASE STUDYでやりましょう(笑)。池田さんはP.I.C.S.が設立されてから結構早い段階、6、7年目くらいの時に所属されてるんですよね。今年で25周年なので、もう20年弱ほどP.I.C.S.を見てきていると。

池田:当時、月一回くらい仲間内のパーティーでVJとかをやってて。そこにいた友達から松居さん(註:プロデューサー・松居秀之氏)を紹介してもらった。当時はマネージャー1人しかいなくて、細かい制作的な手伝いみたいなのもしてた。組織の変化は知らないけど、俺からするとあの頃からずっと変わらないかな。スケジュールと、そのギャラの交渉とかを全部一手にやってくれるよっていう。

ーープロダクション機能がコアであるP.I.C.S.だからこそ、徐々にお仕事の数なり質なりは変わっていきましたか?

池田:ベースは変わってなくて、元々ディレクターが集まって作ったみたいな感じだったからその感じは変わってないような気がする。その規模とかパイが広がっていっただけで。プロデューサーがいて制作がいて、近いところにディレクターも座ってるみたいなそういう感じだった。最初は松居さんきっかけでディレクターとしてデビューできたから、そういう意味ではすごく恩を感じている。そんな経験もない人にいきなりやれっていう、松居さんのノリもすごいしね。当時いた先輩のディレクターとかから広がってったのは間違いなくある。

ーー今では若いディレクターさんが池田さんに憧れて会社宛にメッセージをくださって、ちょうどタイミングが合ったので池田さんの現場に来てもらったりとかもありましたね。

池田:俺もよく内野さん(註:ディレクター・内野政明氏)の現場とか行ってたもんね。LEDに出すためのモーショングラフィックスを現場で作ってた。そういう時しか現場行くことがなかったから、現場というものをそこで知ったかな。

ーーSeishiroさんは、なぜダンスカンパニーなどではなく映像制作会社であるP.I.C.S.をマネジメント会社に選んでいただいたんでしょう。

Seishiro:そういう所ではなくて、むしろ自分にとって異質だったからこそお願いしますってなりました。諏澤さん(註:プロデューサー・諏澤大助氏。先述の乃木坂46MVを担当)に「マネジメントを探してるんですよね」みたいな話をしたらP.I.C.S.を挙げてくださって。

池田:同じ傘の下にいるっていうか、同じマネジメントにいるから、一緒に何かやりやすいというのはあるかもしれない。

Seishiro:そうですね。P.I.C.S.は映像関係において本当にいろんなディレクターさんを抱えてるので、ここで繋がれたものがあるというか、入ったことでだいぶ自分自身の視野が拡がりましたね。もしP.I.C.S.に所属していなかったら、ディレクターさんたちともっと別世界の人間になってたと思います。ディレクターの方たちから聞く話とかこだわりとかが、また新しい私を形成していったというのは、近年感じるかな。もうダンス界は知りすぎているから、そこに固執していても自分が育たないというか…技術の面とかでは影響を受けたりはもちろんしますけど。映像ディレクターさんたちと関わり、こだわりやどうやって生きてきたとか、何が好きで何が嫌いとか、そういう話をしてる方が今のわたしにはすごく勉強になっていて。そういった点で入ってよかったなって。

ーー池田さんも作家同士でのお話はよくしてますよね。

池田:ディレクター同士は普段仕事してると意外と会わないからね。そういう話ができる機会があるのは面白いかな。

Seishiro:逆に振付師が入ることってP.I.C.S.的にどうなんだろう、とは思ってました。やっぱり映像ディレクターをマネジメントしてる会社、制作会社という印象があると思うので、どうなのかしらって思ってた。

池田:今所属しているのはディレクターだけじゃないもんね。間口広げるのはいいかもね。

Seishiro:その固定概念を他の会社さんたちにもなくして欲しいなというか。本当に面白い会社だと思っています。変な人たちのね、動物園みたい(笑)。スタッフもそうだし。みんな面白いじゃない。

池田:P.I.C.S.発の案件は作ってた方がいいと思ってて。基本的に受託案件がメインだから、なんか会社として発信していくべきというか…最近はそういうIPとかもやってるけどね。

Seishiro:「オッドタクシー」よかったよ!

ーー最後に、お二人が今後挑戦したいことはありますか?個人的に抱いてる野望なども含めて。

Seishiro:本当にやりたかった自主公演舞台を最近終えたので、もう燃え尽きたっていうところもあるかな。でも、ふつふつと最近は何かがあるんですよ。とりあえず今年はふざける!もっとふざけていきたい、っていうモードのスイッチが入ってて。自分自身も散々世界を作り込んできたので、なんかまたちょっと破壊的衝動に駆られてきてるっていうのがあるので、ちょっとふざけていきたいなっていう案を…個人的にはディナーショーをやりたい(笑)。大真面目にやるんだけど、真面目にバカをしたいし、笑わせたい。昔からそういった一面は元々持っている人なんだけど、どんどんそういう機会が減ってきたから、またちょっとそういった面を出していくのもいいのかしらね?っていう。

池田:幻のレオタード見れるんですか?(笑)

Seishiro:そうよ!いや、でもディナーショーだから、ギラギラのスパンコール(笑)をシャララララって。

池田:ナイトクラブ感。

Seishiro:あともう一個あった。リズム系の振り付けをやりたい!もっとポピュラーなのを最近やりたい。たまにはもっと弾けていいものを私にも作らせてって思ってます。そういった要素も私の中であるのよ、っていう。舞台であんな心の闇を出したので、だからこそね、次はそういう次元じゃないところもやりたいですね。あと、また一真さんと何か一緒にやりたい!

池田:寸劇みたいなもの。なんてことないことなんだけど、ずっとちょっと狂ってるみたいな。ダンスダンスしていないけど、振り付けで全部動きをつけるとかやりたいんだよなー。太宰治とかそんな話を。セリフとかが気持ち悪い感じの。

Seishiro:すごくそれいいかも。そういう企画だったらポップじゃなくてもいい。もう登場人物をやたら変な人にするとか(笑)。

池田:変に世界観系じゃない方がいいよね。

Seishiro:そういうの楽しい。ってなると、やりたいことありますね。話すと、やっぱあれもやりたい、これもやりたいっていっぱい出てくるなー。

池田:「何のために作るんだろう」が欲しいのよ。その機会がほしい。

文:P.I.C.S./撮影:加藤雄太