天王洲にあるギャラリー「KOTARO NUKAGA」にて開催された、マルチメディアアーティスト・スプツニ子!さんの個展「Can I Believe in a Fortunate Tomorrow? ー幸せな明日を信じてもよい?ー」に、P.I.C.S. TECHがクリエイティブパートナーとして参加。展示設計と設営を担当しました。
群生するクローバーの上をドローンがゆっくりと飛行する映像をAIが解析し、「幸せの象徴」とされてきた四つ葉のクローバーを見つけ出す映像作品です。しかし、テクノロジーによって大量に発見できるようになった四つ葉のクローバーは、本当に私たちを幸せにしてくれるのでしょうか?
かつては人の目で地を這うように探すしかなかった四つ葉のクローバーを、テクノロジーは簡単かつ効率的に発見することを可能にしました。その精度とスピードは驚くべきものですが、その「進歩」には違和感を覚える部分もあるのではないでしょうか。本作は、目視で探すことが困難だった四つ葉のクローバーが、技術の進歩によって簡単に見つかるようになったことのギャップを体験する作品です。
このテーマを2018年から研究してきた作者の依頼を受け、P.I.C.S. TECHチームはプロトタイプの画像認識アルゴリズムを共に検証。クリエイティブコーダー・上野陸 (P.I.C.S. TECH)が、驚くほどの精度で判別するAIアプリを開発しました。
「彩雲」、つまり太陽近くの雲が虹のように七色を帯びて見える現象を、AIによってシミュレートした映像作品です。
雲の中の水や氷の粒で光が屈折・散乱することで雲が七色に輝く「彩雲」は、古来より「吉兆」と信じられてきました。本作では、流れる雲の映像をAIに画像解析させ、虹色の輝きを合成することで、「彩雲」をシミュレートしました。
映し出される映像は「彩雲」そのものであり、見る人を本物の彩雲と同じように幸せな気持ちにさせる一方で、実際にはAIによるシミュレーション、つまりある種のフェイク映像とも言えます。本作には、テクノロジーが示す未来の両義性が暗示されています。
クリエイティブコーダー・上野陸 (P.I.C.S. TECH)が、実写の雲の動きを解析し、彩雲をシミュレーションしました。