「Creative」×「Space」×「Technology」をキーワードに、美術館、テーマパーク、パブリックスペースなど様々なシチュエーションで、映像を拡張した空間体験を生み出しているP.I.C.S. TECH。様々なバックボーンを持つメンバーで構成されている同チームから、テクニカルディレクションを担当する上野陸と、主にアートディレクションを担当する尾澤弥生にフォーカス。P.I.C.S. TECHが提供する体験設計とは?二人がどのように新しい体験を生み出しているかを前後編で紐解きます。後編では、お二人の最近のプロジェクトを紹介しながら今後の未来像について語ります。
前編はこちら:https://www.pics.tokyo/casestudy/pics_tech_interview01/
上野陸:プログラマー・テクニカルディレクター
1992年生まれ、多摩美術大学情報デザイン学科卒業後P.I.C.S.に入社。
デザイン的思考とプログラミングを用いて新たな体感する映像を目指して、インタラクティブインスタレーション等の制作、テクニカルディレクションを担当。
https://www.pics.tokyo/member/riku-ueno/
尾澤弥生:プランナー・アートディレクター
武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業。在学中はセノグラフィーを専攻。
映像・空間を融合させた、体験設計/プランニング/アートディレクションを担当。
https://www.pics.tokyo/member/yayoi-ozawa/
========================================
――最近お2人で手掛けられたARエフェクト「錦上添花」についても教えて下さい。どういった制作過程だったのでしょうか?
尾澤:昔から日本文化には非常に興味があるのですが、4年前からいけばなを習っており、そこから着想しています。いけばなって空間芸術なんですよね。せっかくなら顔周りに花をいけられたら素敵だろうなと思って作りました。1つ1つの柄は着物の伝統的な花や模様をモチーフにしています。それぞれの柄にはおめでたい意味が込められているので華やかに彩られるといいなと。
上野:今回、下から泡が上がってくる様子や顔が光るアニメーション部分を、全てプログラミングで動かしました。容量の制限があるのでイラストの動きをできるだけ活かしつつ、泡や回転の動きをプログラムなどで賄いました。
尾澤:大変でしたね…。ただ、私がやりたいな〜と思っていた事を陸さんが具現化してくれたのでとても素敵なARフィルターになりました!ARエフェクトは、2025年1月14日まで使えるので、ぜひハッピーな時に使ってもらえたら嬉しいです。
ARフィルター「錦上添花」3Dパーツと制作画面
※P.I.C.S. TECH オリジナルARエフェクト「錦上添花(きんじょうてんか)」。本エフェクトはInstagramとFacebookにて公開中です。
Try out the Original AR Effect created by P.I.C.S. TECH! 「錦上添花」であなたのストーリーズを華やかに。:https://www.pics.tokyo/news/2024/kinjotenka_1113/
――チャレンジしてみたいことや夢はありますか?
上野:僕はいつか学芸員の仕事もしてみたいです。実は学芸員の免許も持っているので…。"体験を通して何かを伝える。"という部分で今やっている事とも共通している気がして、すごく興味があります。例えば、色んな作家さんを呼んでカスタマイズして、キュレーションしたり。誰でもわかるように技術の歴史や時代の変移を伝えたり、体験できるものを作ったりするのも良いですね。美術館や博物館だけでなく、バーチャル空間でも良いかもしれません。今でも、美術館や博物館の仕事をやってる時はすごい楽しいので、今後も続けていきたいです。
尾澤:突飛ですが、宇宙空間で何かやってみたいです!P.I.C.S. TECHでは空間展示の作品が多いですが、元々は学生時代に舞台美術・演出を学んでいたので、私はショー(SHOW)が好きなんです。宇宙空間で舞台を見るとどうなるのだろう?果たして宇宙空間で成立するのだろうか?と考えると楽しいだろうなとワクワクします。宇宙での展示も良いですね。地上から宇宙船に乗り、宇宙にある展示場所に到達するまでの体験設計を考えたり…50歳くらいで実現できると良いな(笑)今では旅行会社経由で宇宙に行けるサービスもあるので、宇宙ショービジネスはもうすぐそこかもしれません!
仕事でもそうなのですが、空間の演出は”空間”を使う事によりリアルになりすぎてしまうので、突飛な発想を常に持つようにしていて、どんな案件でも「ファンタジー要素」を入れるように意識しているんです。それは根幹の部分で「宇宙」への想いがあるのかもしれません。
========================================
上野陸
「Can I Believe in a Fortunate Tomorrow? ー幸せな明日を信じてもよい?ー」スプツニ子!個展
https://www.pics.tokyo/news/2024/kotaro-nukaga_1129/
2024年11月2日(土)より、天王洲にあるギャラリー「KOTARO NUKAGA」にて開催中の、マルチメディアアーティスト・スプツニ子!さんの個展「Can I Believe in a Fortunate Tomorrow? ー幸せな明日を信じてもよい?ー」に、P.I.C.S. TECHが展示設計と設営を担当しました。
本展ではAIを駆使した3つのシリーズ作品を提示しており、上野陸 (P.I.C.S. TECH)が、作品《Drone in Search for a Four-Leaf Clover》ではAIで四葉のクローバーを見つけるアプリの開発を、《Can I Believe in a Fortunate Tomorrow?》では「彩雲」という現象を、AIによってシミュレートする映像作品の制作を行いました。
会場:KOTARO NUKAGA(天王洲)
会期:2024年11月2日(土) - 2025年1月25日(土)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「Coral Colors by SUPTNIKO!」
https://www.pics.tokyo/news/2024/coral-colors_1223/
2024年11月29日(金)より、沖縄県にある沖縄科学技術大学院大学OISTトンネルギャラリーで開催中の展覧会「Coral Colors by SUPTNIKO!」の中で作品が展示中。
この展覧会は、サンゴの白化現象という現実と向き合い、環境問題への理解を深めることを目的に企画され、各作品では壮麗なサンゴ礁の美しさと、そのサンゴ礁が直面する環境問題を視覚的に表現している。
沖縄科学技術大学院大学が行う石西礁湖のサンゴ白化現象の研究結果に基づき、過去から現在までの時間軸とその断面、線と点で捉えた表現アニメーションとイメージコレクションと、OIST初のNFTアートを展示中。
マルチメディアアーティスト・スプツニ子!さんが作品企画を発案し、上野陸 (P.I.C.S. TECH)がコーディングを担当。
会場:沖縄科学技術大学院大学 トンネルギャラリー
会期:2024年11月29日- 2025年1月9日 (12/29 ~ 1/3 を除き、毎日開廊)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
尾澤弥生
「グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ」展
https://www.pics.tokyo/news/2024/mucha_1119/
12月3日(火)より渋谷ヒカリエホールにて開催される没入体験型展覧会「グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ」にクリエイティブ・テクノロジーパートナーとしてP.I.C.S. TECHが参加。会場構成・空間構築・機材設営を担当。
本展は、パリのグラン・パレ・イマーシブとミュシャ財団が監修し、パリで2023年に開催されたイマーシブ展覧会『Eternel Mucha』をアレンジしたもので、日本初上陸。19世紀末から20世紀初頭にかけてパリで活躍し、アール・ヌーヴォーを代表する画家アルフォンス・ミュシャの作品を、高さ6mの高解像度プロジェクションによるイマーシブ空間で堪能することができます。
会場:ヒカリエホール(渋谷ヒカリエ9F) 東京都渋谷区渋谷2-21-1
開催期間:2024/12/3(火)~2025/1/19(日)