木下麦 × 此元和津也 × CLAPの新作オリジナルアニメ映画『ホウセンカ』がアヌシー国際アニメーション映画祭2025にてワールドプレミア。監督・キャラクターデザインを務める木下麦 (P.I.C.S. management)が松尾亮一郎(株式会社CLAP)プロデューサーとともに登壇しました。
アヌシー国際アニメーション映画祭は、カンヌ国際映画祭からアニメ部門を独立させる形で1960年に設立した、世界最大規模のアニメーション映画祭。長編・短編・TVシリーズ・VRなど多様なカテゴリーで国際的な作品を紹介し、アニメーション界の最先端を象徴する祭典として広く知られています。
映画『ホウセンカ』は、昨年開催された「アヌシー国際アニメーション映画祭2024」にて、制作途中のプロジェクトを監督自ら紹介するプログラム「Work in Progress」にも選出。ついに完成を迎えた今回、長編コンペティション部門で満を持しての初披露となり、ワールドプレミアの公式上映では約900席が満席となりました。
舞台挨拶には、監督・木下麦 (P.I.C.S. management)、プロデューサー・松尾亮一郎さんが登壇し、作品に込めた想いを語りました。
現地の様子のイベントレポートをお届けします。会場の臨場感が伝わってくる写真と合わせてご覧ください。
– 監督・キャラクターデザイン:木下麦
https://www.pics.tokyo/member/baku-kinoshita/
– 原作・脚本:此元和津也
https://www.pics.tokyo/member/kazuya-konomoto/
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フランスの現地時間6月8日(日)より開催されたアヌシー国際アニメーション映画祭 2025にて、現地時間6月12日(木)13:00(日本時間6月13日(木)20:00)に木下麦監督の『ホウセンカ』がワールドプレミア上映され、木下麦監督、松尾亮一郎プロデューサー(株式会社CLAP)が登壇した。
世界最大規模のアニメーション映画祭として知られるアヌシー国際アニメーション映画祭。TVアニメ「オッドタクシー」で一躍話題となった木下監督が長編映画を手掛けるのは今回が初めて。昨年、制作中の作品をプレゼンテーションするWork in progress部門での本作出品に続き、今年の長編コンペティション部門にて2度目のアヌシー国際アニメーション映画祭参加となる。1年ぶりの凱旋に、多くのファンが期待とともに作品を出迎えた。
ワールドプレミアとなる公式上映の会場は映画祭最大のスクリーンとなるボンリュー劇場。949席のチケットは受付開始とともに即完売し、当日券を求める人々が会場前に列を成す盛況振り。上映前にはステージへ作品の期待を込めて紙飛行機を飛ばすのが恒例だが、本作でもたくさんの紙飛行機が数多く飛ばされていた。
木下監督、松尾プロデューサーは本作の重要なキャラクターであるホウセンカのぬいぐるみとともに舞台へ登壇。会場に詰めかけた観客から大きな歓声と拍手で迎えられた。まずはじめに松尾プロデューサーが2022年に『夏へのトンネル、さよならの出口』でもこのステージに立ったことに触れつつ、「『ホウセンカ』という作品は日本では企画が成立するのがなかなか難しい作品なんですけども、アヌシーで『夏へのトンネル〜』が賞を獲ったことが後押しになり実現できました。」と、感慨深く語り、「木下麦監督のアイデアと脚本の此元和津也さんのストーリーテリングによって、とても見応えのある素敵な映画になったと思っていますので、皆さん楽しんでいってください。」と観客にメッセージを贈った。
松尾プロデューサーからマイクを受け取った木下監督は「Bonjour!(こんにちは)」と完璧な発音のフランス語で会場に挨拶。会場からも「Bonjour!」と返ってくると、今度は「Ça va?(元気?)」「oui(元気!)」と、流れるようなコール&レスポンスに会場は大盛り上がり。大きな拍手に応えながら「本当は賢いんですけど、この後は日本語で喋りますね」と会場の笑いを誘った。
一転、「今日は見に来てくれてありがとうございます」と観客への感謝を伝えながら「この作品は、美しさと純真さを大切にして作りました。美しさは人生を豊かにします。美しさは日常生活の身の回りに実はありふれています。しかし、我々は見過ごしてしまうことが多いんです。ただ、この映画はそこに向き合って、美しさとはなにか、純真さとはなにかを突き詰めて考えた作品です。これを見た人は今日はとてもいい気持ちになると思います。今晩、寝る前にまた思い出して欲しいのですが、今日はいい日だったな、と思うはずです。僕はその自信があります。」と映画に込めた思いを語り、出来栄えへの自信が垣間見えた。
上映が始まると、テンポのよい会話劇に会場からは大きな笑いが何度もあがった。笑いばかりではなく、衝撃の展開に没頭していた観客が息を呑む場面も。終盤では思わず涙する人の声で溢れ、心に残るストーリーであることが伺えた。上映終了後は、会場中央で見ていた木下監督、松尾Pを割れるようなスタンディングオベーションが迎えた。また、会場に残るファンの熱は引ききらず、その後も異例となる形でその場で囲まれサインをする一幕もあった。会場で作品を見た観客は「素晴らしい芸術品です。」「美しいストーリーで構成が素晴らしかった。」「最後まで見ると、大逆転に至るまでの全ての過程が理解できます。終わりは本当に最高潮に達し、感動的でした。」「とても感動し、息を呑むような体験でした」と大絶賛。ヤクザと花の物語が国を問わず多くの人々の心を震わせた。
また、翌日にはサイン会が実施され、老若男女様々な100人を超える多くの人が詰めかけ、長蛇の列をなした。サインを求める人々の中には「オッドタクシー」のファンも多く見られ、ファンアートや自身で手作りしたグッズなどを持参し、「今日のためにイギリスから来た」という人も。それぞれ熱心に木下監督に 「オッドタクシー」『ホウセンカ』の感想を伝え、監督は身振り手振りを交えつつ丁寧にその声に応えていた。フランスのみならず、イギリス、アメリカ、タイ、台湾など様々な国籍のファンが訪れ、多くの地域で木下監督に注目が集まっていることが伺えた。
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世界中のアニメファンを魅了し、注目が高まる『ホウセンカ』。今後の続報にぜひご期待ください。
◼︎ホウセンカ
https://anime-housenka.com
〜ストーリー〜
「ろくでもない一生だったな」
独房で孤独な死を迎えようとしていた無期懲役囚の老人に
声を掛けたのは、人の言葉を操るホウセンカだった。
“会話”の中で、老人は自身の過去を振り返り始める。
キャスト:
小林薫 戸塚純貴
満島ひかり 宮崎美子
ピエール瀧
監督・キャラクターデザイン:木下麦
原作・脚本:此元和津也
企画・制作:CLAP
音楽:cero/髙城晶平 荒内佑 橋本翼
配給:ポニーキャニオン
©此元和津也/ホウセンカ製作委員会
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